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学資保険の節税効果を最大にするにはどうすればいい? 必ず節税になるの?

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「保険に入ると節税になりますよ」

保険の販売員からそんなふうに言われた経験はありませんか?

実は、保険に加入すると節税になるという話は、一般論としては間違いではないのですが、すべての人にとって節税効果があるわけではありません。節税効果がある人とない人がいるというのが正解です。

保険の節税効果を知るためには、所得税や住民税の仕組みを理解することがまず必要です。また、加入の仕方によって節税効果が変わるだけでなく、契約者などの設定を間違えると別のところで税金がかかり、想定していた節税効果が吹き飛ぶことがあります。

この記事では学資保険を例として、保険に加入するとどのくらいの節税効果があるのかということを、わかりやすく解説します。

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所得税と住民税の計算方法

学資保険に加入することの節税効果を理解するためにはまず、節税の対象となる所得税や住民税の計算方法を簡単に知っておくことが必要です。

保険料を払うと「生命保険料控除になる」という話を聞いたことがある人は多いでしょうが、それだけでは理解したことにはなりません。ここでは確定申告が不要な会社員を前提として、所得税と住民税の計算方法について詳しく説明します。

所得税と住民税の概要

学資保険に加入することで節税できるのは、所得税と住民税です。

確定申告が不要な会社員の場合、年末調整で税金の手続きはすべて終わります。その年の所得税はあらかじめ概算値で毎月の給料から引かれており、年末調整の手続きで確定した所得税額との差額が調整されます。

年末調整の結果、預かっている金額で足りなければ追加の支払いが求められ、余れば返還されます。毎月の預かり金は少し多めに計算されているので、通常はお金が戻ってくることが多いのです。

住民税については、年末調整で確定したデータが自動的に住所地の市区町村に送られ、そのデータをもとに住民税額が決定されます。そして、6月から翌年の5月にかけて給料から天引きされます。たとえば2018年の所得にかかる住民税は、2019年の6月~2020年の5月の給料から天引きされるのです。

毎月の給料から引かれている所得税と住民税は、所得税がその年の概算額で、住民税は前年の所得をもとに計算した確定額であることを知っておきましょう。

所得税の計算方法

1.給与所得の計算

所得税の計算方法は、3つのステップに分けるとわかりやすいです。

まず、1年間の収入から「給与所得控除額」を控除して、給与所得を求めます。

収入-給与所得控除額=給与所得

給与所得控除額とは、サラリーマンの必要経費と考えてください。そして、計算の仕方は次のように決まっています(例外もあります)。

給与等の収入金額 (給与所得の源泉徴収票の支払金額) 給与所得控除額
1,800,000円以下 収入金額×40%(650,000円に満たない場合には650,000円)
1,800,000円超 3,600,000円以下 収入金額×30%+180,000円
3,600,000円超 6,600,000円以下 収入金額×20%+540,000円
6,600,000円超 10,000,000円以下 収入金額×10%+1,200,000円
10,000,000円超 2,200,000円(上限)

年収が500万円であれば、給与所得控除額は5,000,000円×20%+540,000円=1,540,000円となります。

そのため、給与所得は5,000,000円-1,540,000円=3,460,000円となります(以下でもこの例を引き続き使います)。

注意ポイント

「収入」と「所得」は違います

2.課税所得の計算

給与所得を計算したら、次に税率を適用する課税所得を計算します。

給与所得-所得控除=課税所得

税率を適用するのは給与所得そのものではありません。ここから税金を安くするためのさまざまな控除(所得控除)が用意されています。そのうちの1つが「生命保険料控除」なのです。

生命保険料控除以外の例を出しますと、誰でも差し引ける「基礎控除」、年金保険料や健康保険料などの「社会保険料控除」、扶養している人がいる場合は「扶養控除」などがあります。ここでは詳細を知ることは不要ですので、控除額の合計を1,000,000円としておきます。

そうすると、課税所得は3,460,000円-1,000,000円=2,460,000円となります。

学資保険の節税効果を理解するためには、保険料として支払った金額がここで所得から差し引かれる点に注目してください。所得が減れば、税金が安くなるからです。

3.所得税額の計算

所得税額の計算は、次の計算式で求めます。

課税所得×税率=所得税額

なお、所得税は超過累進税率という仕組みが採用されているため、消費税のように一律で決まっているわけではありません。所得が増えれば適用される税率は上がります。税率は次のとおりです。

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

注意してほしいのは、たとえば課税所得が250万円の場合、所得税は250万円×10%=25万円になるのではないという点です。

195万円以下の税率は5%ですが、195万円を超えて330万円以下の税率は10%です。そのため、課税所得が246万円であれば、195万円を超える部分だけ10%が適用されるのです。

つまり、1,950,000円×5%+(2,460,000円-1,950,000円)×10%=148,500円のように計算します。

なお、上記の表は速算表となっています。これをそのまま使用して計算する場合は2,500,000円×10%-97,500円=148,500円となります。

注意ポイント

ここで計算された金額からさらに「税額控除」があれば差し引かれますが、ここでは不要なので省略します。

住民税の計算方法

住民税は、県民税(もちろん東京都なら「都民税」)と市民税の総称で、「均等割」「所得割」で構成されます。

均等割は、所得が一定の基準額を超えた市民に対し、一律で1人当たりいくらという形で課税されます。東京都であれば、都民税が1,500円、区市町村民税が3,500円です。

所得割は、所得税の計算方法とおおむね、同じです。税率は自治体によって若干の違いはありますが、10%と考えておけば良いです。東京都の場合、都民税の税率が4%で、区市町村民税が6%です。

学資保険に加入して保険料を支払った場合、所得税の時と同じで課税所得が減ります。そのため、減った課税所得に10%をかけた金額が節税になるということです。

学資保険に加入して課税所得が30,000円減ったのであれば、30,000円×10%=3,000円の節税効果があるということになります。

生命保険料控除とは

生命保険料控除の概要

生命保険料控除とは、民間の保険に加入して支払った保険料を給与所得から差し引ける仕組みです。課税所得が減ることで、所得税や住民税が安くなります。

ただし、払った保険料のすべてが対象になるわけではありません。以下の3種類が対象になります。

  • 「新生命保険料控除」・・・死亡保険(終身保険や定期保険など)、学資保険など
  • 「介護医療保険料控除」・・・医療保険、介護保険など
  • 「新個人年金保険料控除」・・・個人年金保険料税制適格特約がついている個人年金保険

生命保険料控除は平成24年1月1日以降に契約したものと、それ以前に契約したものでは扱いが違うのですが、ここでその詳細を解説する意味はありませんので、以下では平成24年以降のもののみについて解説します(「新」とついているのは、平成24年以降の契約という意味です)。詳しくは国税庁のサイトをご覧ください。

これらのそれぞれについて、最高で4万円までが生命保険料控除として所得控除になります。すべて合わせて、最大で12万円までということです。

学資保険は「新生命保険料控除」に該当するので、年間で節税の恩恵を受けられるのは、最大で4万円(所得)までということになります。

具体的な控除額

前項で、学資保険は生命保険料控除の対象となること、上限があることを説明してきましたが、上限の枠内であっても、支払った保険料の全額が対象になるわけではありません。

生命保険料控除の対象となる金額は、次のように計算します。

年間の支払保険料等 控除額
20,000円以下 支払保険料等の全額
20,000円超 40,000円以下 支払保険料等×1/2+10,000円
40,000円超 80,000円以下 支払保険料等×1/4+20,000円
80,000円超 一律40,000円

そのため、学資保険に加入して月1万円の保険料を支払った場合は年間で12万円なので、控除額は上限の4万円となるわけです。

なお、この計算はあくまで学資保険以外の保険契約がない場合を想定した話ですので注意してください。

節税効果の具体例

所得税の具体例

学資保険以外にまったく保険の契約をしていないと仮定した場合、毎月1万円の保険料を支払えば、生命保険料控除の金額は前項で説明したとおり、4万円です。

先ほどの例の場合、課税所得は2,460,000円でした。そして、学資保険に加入することで課税所得はここから4万円を差し引いて、2,420,000円となります。

適用される税率は1,950,000円までが5%、1,950,000円を超える部分が10%ですが、学資保険に加入したことで減っているのは、195万円を超えている部分ですよね。

そのため、節税効果を計算するときは、5%ではなく10%を適用して計算します。つまり、節税効果は40,000円×10%=4,000円ということです。

住民税の具体例

住民税についても基本的な考え方は同じですが、生命保険料控除の計算方法が少し違います。住民税の生命保険料控除は以下のように計算します。

年間正味払込保険料 控除される金額
12,000円以下 全額
12,000円超 32,000円以下 (年間正味払込保険料×1/2)+6,000円
32,000円超 56,000円以下 (年間正味払込保険料×1/4)+14,000円
56,000円超 一律 28,000円

ここで使用している例では上限に達しているので、28,000円ということになります。

そのため、住民税の節税効果は28,000円×10%=2,800円となります。

以上から、学資保険に加入して年間12万円の保険料を払った場合の節税効果は4,000円+2,800円=6,800円となります。利回りで見れば、決して悪くないですね。

注意ポイント

「学資保険に入ると節税効果がある」と言えるのは、この枠が残っている状態のときに加入するというのが前提になります。

節税効果を最大にする学資保険の入り方

学資保険の加入による節税効果は一工夫することで、より大きくなることがあります。また反対に、うっかりするとせっかく得られた節税効果を失ってしまうことがあります。ここでは学資保険の加入による節税効果を最大にするための知識をお伝えします。

契約者等の決め方

学資保険に限りませんが、保険に加入するときは契約者、被保険者(保険の対象となる人)、保険金受取人の3者を決める必要があります。

夫婦共働きの家庭で学資保険に加入する場合、契約者や保険金受取人の組み合わせはいろいろ考えられますが、基本は次のようにするのが良いです。

  • 契約者=保険料負担者
  • 被保険者=子供
  • 受取人=契約者

ポイントとなるのは、保険料を負担する人と保険金の受取人を同じ人にするということです。夫婦の中で、働いて収入を得ている人が保険料を払うというパターンが一番多いですが、専業主婦が自分の貯金から保険料を払うということもあり得ないわけではありません。

保険料の支払いはどのようなパターンでも良いのですが、受取人はなるべく保険料を負担した人にしてください。なぜなら、保険料を負担していない人が保険金を受け取ると、贈与になってしまうからです。

満期金が110万円以下なら贈与税はかかりませんが、贈与税を支払うことになってしまったら、せっかく学資保険に入って資金を増やしても、その増えた分以上の金額を税金として支払わなければならないかもしれません。それでは意味がありませんよね。

夫婦共働きの場合に、節税効果を最大にするには

支払う保険料の総額が生命保険料控除の枠内であるという前提だと、夫婦共働きなら所得の高い方が契約するのが良いです。

なぜなら先述したとおり、所得が高い人の方が所得税の税率も高くなるので、節税効果が大きくなるからです。

なお、夫婦が別々に学資保険に加入することで、節税効果が大きくなることがあります。

生命保険料控除の枠は年間で8万円なので、夫婦二人で使えば16万円になります。共働きでそれぞれが所得税や住民税を支払っているのなら、分けて契約した方が節税効果は大きくなります。

どのような配分で加入すると節税効果が最大になるかということは、それぞれの生命保険料控除の枠と所得の金額によって決まります。結論はケースバイケースなので、加入するときに保険屋さんに試算してもらうと良いでしょう。

満期金に課税されないようにするにはどうすればいい?

一括で受け取る場合

学資保険の満期金の受け取り方は2種類あります。一括で受け取る場合と学資年金として受け取る場合です。受け取り方と職業によって税金のかかり方が違ってきますので、注意してください。

まず、一括で受け取った場合は「一時所得」という扱いになります。

ただし、満期金として受け取った金額が全額、課税されるわけではありません。課税の対象になるのは、満期金として受け取った金額から支払った保険料の総額を差し引いた金額から、さらに50万円を引いた金額です。

つまり、その収入を得るのにかかった費用を差し引いた金額が50万円以下なら課税しませんということです。

学資保険の満期金は300万円程度であることが多いですし、返戻率は良くても10%程度です。そのため、税金はかからないことの方が多いです。50万円を超える場合でも、課税対象になるのは超えた分のさらに2分の1なので、それほど心配はいらないでしょう。

学資年金として受け取る場合

学資保険の満期金を学資年金として受け取る場合は「雑所得」という扱いになります。

たとえば360万円を保険料として支払った学資保険で、400万円の満期金を4年間に分けて受け取る場合、400万円×(400万円-360万円)/4=10万円の雑所得が1年ごとに発生します。

契約者が会社員であれば、雑所得は20万円まで非課税なので、他に雑所得となる所得がなければ税金はかかりません。

しかし、これはあくまで副業での話なので、自営業者であれば20万円という非課税枠はなく、課税対象になってしまいます。

仮に所得税の一番高い税率が20%だとすると、住民税の所得割は10%なので、10万円×(20%+10%)=3万円が毎年、税金として発生することになります。これでは、生命保険料控除で節税になっても意味がありませんよね。

そのため、自営業者の人は満期金の受け取り方には注意しておきましょう。

祖父母が学資保険に加入するのはどう?

祖父母が孫の教育資金を援助するのはよくある話ですが、学資保険の契約者になるのはおすすめしません。教育資金の援助をする方法はいろいろありますので、その他の方法を検討した方が良いでしょう。ここではその点について詳しく解説します。

学資保険がおすすめできない理由

孫の教育資金を祖父母が援助するにあたり、学資保険の契約者となる方法はおすすめしません。その理由は次のとおりです。

満期金は贈与税の対象
契約者を祖父母、被保険者を子、保険金受取人を子として契約する場合、子が満期金を受け取ると、贈与という扱いになってしまいます。

贈与税は年間で110万円を超えると発生しますが、満期金を一括で受け取る場合、110万円を超えることは珍しくないので、贈与税がかかる可能性が高いです。

そもそも保険に加入できないことがある
学資保険は契約者の年齢が高いと契約できないことがあります。そのため、両親が契約するのが基本です。

同居や扶養が条件になることがある
孫の直系尊属であったとしても、孫と同居していることや、扶養していることが条件となるタイプの学資保険があります。こうした商品は契約することができません。

教育資金を一括贈与した場合の非課税制度を使ったほうがよい

平成31年3月31日までですが、祖父母が教育資金を孫に贈与する場合、「祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度」を活用することで、1,500万円まで非課税で贈与することができます。

予定利率が低い現在では、学資保険を使っても大きく資金を増やすことはできません。また、すでに働いていないのであれば節税効果もありません。そのため、この制度を活用して普通に贈与した方が良いでしょう。

なお、孫は30歳未満の人が対象で、使い切らなかった分については一般の贈与とみなされて課税されてしまいます。30歳に達した時点で残額があると、課税の対象となってしまうので注意しておきましょう。

詳しくは、国税庁のサイトを参考にしてください。

まとめ

所得税と住民税の計算方法が分かれば、学資保険に加入することの節税効果は理解できるはずです。また、せっかく生命保険料控除という形で節税になっても、契約するときに受取人などの設定を間違えると、思わぬ税金が発生してしまい、節税効果が吹き飛んでしまいます。

節税効果というと生命保険料控除の話ばかりを耳にするでしょうが、それ以外にも大事なポイントはたくさんありますので、契約前によく理解してください。加入するときは保険屋さんによく相談して、節税効果を最大限、引き出せるようにしましょう。

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