「発達障害の特性に向いているから」という理由で仕事を選んでいませんか?
気を付けて下さい。それは間違っています。
なぜなら、発達障害者の特性における悩みの9割は、職場環境に左右されるからです。実際に障害者枠で就職しても、次のようなケースに陥ると働きにくい問題が起こります。
特性上、臨機応変な対応が難しい。そのため、マニュアルを元に働ける工場で働くことになった。しかし、仕事のペースは一般社員と同じレベルを求められる。
このような特性に向いている仕事を選ぶ弊害は実際に起こっています。この問題の根底には「発達障害者は向いている仕事ならできる」という認識が広がっているからです。
職場環境に理解が無いと、発達障害について「Aの特性にはBの仕事が向いているから大丈夫」と一括りにされがちなので注意が必要。この点について、実例を踏まえて対策をまとめてみました。
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発達障害者が気をつけるべき向いている仕事の問題点
「向いているから」という助言は頼りになりますが、それを信じすぎるのは少し危険です。
なぜ危険なのでしょうか?
ここでは、その理由と発達障害者が何に気を付けて仕事を選ぶべきかについて、詳しく解説していきます。
適職診断だけで向き不向きを決めがち
発達障害者の中には、適職診断を受けている方が多くいます。特性上の問題で働きにくいため、大まかにでも向いている仕事の傾向を探ることは有効です。
ただ、ここで注意したいのは、「○○障害の傾向があるから○○の業種を探せばいい」という結果を鵜呑みにしないことです。
特性は確かに傾向があるのでわかりやすく理解できますが、当事者の性格や好き嫌いも加味して考えないと何が向くのかは判断できません。
発達障害の特性と向いている仕事の関係は、あくまで一般例で作られています。個々の興味や関心を差し置いて、特性傾向に向く仕事というパターンに追いやられていないか考える習慣を持ちましょう。
向ていると言われて入社したけど、仕事の内容は全く興味がないといった環境になると障害に関係なく、働くことが苦痛になるのは言うまでもありません。
重複障害の特性は見落とされやすい
発達障害を特性で一括りしてはいけない理由に、「重複障害」の問題があります。個々によって特性には差があると前述させて頂きましたが、当事者も気づかないところがあるため注意すべき。
そもそも、発達障害には分かりやすく分類された特性があるだけで、傾向として強く出ていると言われていることを理解する必要があります。
当事者の方でも、「アスペルガーだから」とか「ADHDなので」と解釈している人がいますが、純粋に一つの特性で困っているとは限りません。
強く出ている特性を意識しすぎるがあまり、弱い特性の部分を見落としていると後で苦労します。入社後に、特性は他にもあった・・と判明することもあるのです。
人の数だけ個性があるように、障害にも細かい特性の分類があります。特に重複障害は、本人でも見落として困っているケースがあるため注意が必要です。
向いている仕事を重視し過ぎて低賃金で働く
発達障害の方は、仕事に困っていることも多く、「働ける環境があるなら・・」と低賃金で働くことが当たり前になっている人もいます。
ありがちなのは、障害者求人を探している最中に、「向いてるから働くと良いよ」とアドバイスされると、ここしかないと思いがちな場面。
「仕事を貰える」という受け身な状態になるのは仕方がないところもありますが、「向いているから低賃金でも頑張ろう」という姿勢になるのは勿体ないです。
障害者枠の問題にもなりますが、特性を理解されたければ低賃金も仕方がないと考えないようにしましょう。
発達障害者は、特性上の問題で極端にできないことがある反面、問題点を除けば一般雇用者と変わらない仕事をこなせる方も多くいます。
こういった方が、低賃金で雇用され続けるとどうなるか。やはり、お給料の少なさでメンタルにはダメージを負いやすいので、なるべく低賃金を避ける努力も必要と言えます。
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発達障害者に向いている仕事の基準
ここで、発達障害者に向いている仕事の基準をまとめてみます。
向いている仕事と言っても、一般的な事例にありがちな「○○障害だから○○業が良い」というような単純な話ではありません。
各個人の立場で考えて頂き、本当に向いていると思える仕事を探す基準にして下さい。
いち職員として、戦力となり働ける仕事
「障害者枠」で雇用されると、様々な優遇措置を受けながら働けます。しかし、優遇措置を受ける度合いが強くなると、いち職員として働いている実感が湧きにくくなります。
「周りの一般社員は戦力として何でもやっているのに、障害者枠で入った自分は助けてもらってばかりだ・・」という状況などは、いくら向いている仕事をやっていても楽しくはありません。
求人を紹介してもらう段階では、「向いている仕事だから頑張れそうだ」と働くことにポジティブになれてしまうので注意が必要です。
逆に、苦手な仕事で大変でも、周りから理解されながら同じ仕事を任せられるとどうでしょうか?これなら、置いてけぼりな孤独感を持つことも無くなります。
同じ障害者枠でも、おんぶに抱っこな職場もあれば、個々に出来るだけ頑張ってもらう職場もあるため見極めは重要と言えます。
向いている仕事も大事ですが、向いている職場環境かどうかをチェックするようにして下さい。
良好な人間関係を築いて働ける環境
向いている仕事を重視していると、それなりに働けそうな業務内容の求人は見つけやすいです。障害者枠なら配慮もあるため、何とか仕事はついていける状態になれます。
ただし、企業の採用担当者の配慮はあっても、そこで働く個々の理解が無いと人間関係は面倒になりがちです。
「障害者枠だから配慮してあげる」といった姿勢の人たちばかりの職場で働くとなると、いくら天職として働ける人でも気分的には最悪の毎日を送ることになるはず。
発達障害者の「向いている仕事探し」の問題には、業種や仕事内容ばかりに目が向けられ、人間関係を忘れがちなところがあります。
求人紹介を受ける段階で、どういった人たちが働いているのかや、すでに職場内部のことを知っている求人アドバイザーなどに聞いてみると解決は早いです。
一般枠、障害者枠に関係なく、人間関係が良好に築けることは労働の最低条件と言えます。
正社員として精神面と生活面の保障がある
向いている仕事と正社員はセットで考えるべきです。障害者枠には、向いている仕事ややりがいを重視しているところも多いのですが、正社員として身分の保証を受ける必要があります。
せっかく向いている仕事でも、非正規雇用のまま不安定な環境にいると、精神面で負担がかかります。
「障害者枠で非正規・・このままでいいのだろうか」といった悩みの原因は、なるべく早い段階で片づけておかないとメリハリのない労働にも繋がりかねません。
正社員という肩書であろうと、非正規であろうと働いていることに変わりはないと思うかもしれません。しかし、毎日を過ごす中での安心感を得たいならどちらを選ぶのかという話です。
「障害者枠で雇ってもらうのだから、向いている仕事以上のことは望まない」といった、遠慮がちな姿勢で仕事を探すのはやめましょう。
しっかりとした障害者求人サービスを頼れば、正社員雇用で向いている仕事を見つけられます。
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発達障害の特性に向いている仕事
ここでは発達障害の特性に向いている仕事について解説します。もちろん、決めつけで「○○障害には○○な業種が向いている」という話ではありません。
冒頭から述べているように、向いている仕事は職場環境によって大きく変わります。
どういう部分を配慮してもらうと、特性や個人的な好みを含めた向いている仕事に繋げられるか説明します。
「広汎性発達障害(PDD)」の特性に向いている仕事
広汎性発達障害(PDD)の特性で困りがちな点として、対人関係の問題が生じやすい傾向があります。ありがちなトラブルとしては
- 他者の気持ちは考えているが、思ったことを口にしてしまうため険悪になる
- ルールや習慣に自分のこだわりがあるため仕事の指示が通りにくい
こういったコミュニケーショントラブルを避けるため、一人でできる仕事が向いていると言われます。例えばエンジニアや技術職などは挙げられやすい仕事です。
ただし、これは向いている仕事の一例であり、PDDの特性があっても企業に次のように問題を伝えられれば仕事の幅を広げられます。
思ったことを言ってしまうこともあり、誤解を招くことが多い。特性として困っているが、相手に悪意が無いことを理解して欲しい。
このように問題対策として伝えておくと、コミュニケーションに失敗しても他の社員にも理解されやすくなります。
ポイントは「誤解されやすいコミュニケーションを取ってしまうことに困っている」と認識されること。
こう考えると、向いている仕事は一人でやることだと限定する必要はありません。理解を求められる場所はたくさん存在します。
「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」の特性に向いている仕事
注意欠陥・多動性障害(ADHD)の特性で困りがちな点として、集中力の欠如によるミスを重ねやすさがあります。仕事の場面に関して多いのは
- 咄嗟の対応が苦手で失敗を繰り返してしまう
- 仕事における作業を順序だてることが難しい
このようなミスが増えやすい特性は、職場内では呆れかえられる傾向があります。そのため、繰り返し作業などマニュアル化された仕事が向いていると言われます。
ただし向いているからと働いてみると、同じことの繰り返しによる精神的疲労に襲われる問題があります。
例えばパートの方が中心の世界で、何時間も正社員並みに同じ作業を繰り返すのは、雇用の在り方として考えると正解とは言えません。
そこで、次のように職場に対する説明を行い理解を得ると、ADHDが不利とされる仕事にも挑戦することができます。
小さな物事もマニュアル化してもらえると、作業の段取りが組んで働きやすい
このように伝えると、臨機応変や順序だての難しさを緩和してもらうことが可能です。このような対処ができる職場であれば、話し合いで採用してもらえます。
ポイントは、仕事が理解できないのではなく、臨機応変なことが難しいと伝えること。
マニュアル化を考えてくれるところや、段取りの組み方を教えてくれる企業だと分かれば応募してみるといいでしょう。
「学習障害(LD)」の特性に向いている仕事
学習障害(LD)の特性で困りがちな点として、物事によっては上手く理解できないことが挙げられます。こちらも色んなケースがあるため、一例として問題を挙げます。
- 誰もが理解できるマニュアルを読んでも解読できない
- 言われたことを瞬時に理解できない
- 計算など普通ならできることが、焦るとできなくなる
このように、普通なら理解できそうなことに支障がでるため、なるべく決まったことを繰り返す仕事が勧められやすいです。
ただし、向いていると思って働いていても、急に社内のマニュアルが変わるケースなどに対応できなくなりがち。そのため、職場探しの際は以下のように伝えておくとスムーズです。
急な対応を求める場面では、少し考えさせてもらえると助かる
人よりも理解が遅いということを伝えた上で、配慮してもらえる環境であれば、バックアップはすぐに可能とも言えます。
ポイントは、分かりやすい仕事から教わるなど、「時間をかければ問題ない」というアピールができるかどうか。この点をクリアすれば、働ける環境も増えるため幅は広げられます。
発達障害者に向いている仕事探しに必要なこと
発達障害に向いている仕事探しには、忘れてはいけない条件があります。それは、思い付きで仕事を選んでしまわないこと。
特に注意すべき条件をここではまとめているので、仕事探しの際には必要であると認識してください。
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特性で業種を絞り込んでしまわない臨機応変さ
「特性上、この仕事が向いている」と、特定の業種に絞り込んでしまわないようにして下さい。特性に向いていると言われると、何とか窮地を脱出することができると思いがち。
大事なのは、述べてきた通り、職場環境がどれだけ当事者に理解を示してくれるかです。「この仕事なら向いていそうだ」と判断して就職しても、周りから理解を得られないとしんどい思いをします。
仕事や業種を見て選ぶのはもちろん重要ですが、どういった企業が運営していて、障害者に対する配慮がどのようにできるのかをチェックするなど臨機応変に動けば選べる仕事も広がります。
逆に言えば、向いていると思わなかった仕事でも、理解ある職場環境で働くと思った以上に頑張れることもあるということです。
限定した仕事探しにならないよう、一人にならず必ず助言をもらうといった習慣をつけると失敗も減りやすくなります。
障害者求人を紹介できる専門アドバイザー
障害者求人を探すことは簡単ですが、自分に向いているかどうかを判断しつつ紹介してくれる専門アドバイザーはなかなか見つけられません。
ここに障害者求人の落とし穴があるのですが、順番としてまずは専門のアドバイザーを見つけてから、障害者求人を探すイメージを持ってください。
なぜなら、専門アドバイザーであれば、発達障害の特性を見た上で仕事を探してくれるからです。自分で探すと、偏った求人にしか応募できないと思いがち。
専門アドバイザーなら「他にもこういった仕事があります」と、仕事や業種の幅を広げる役割を果たしてくれます。
障害者求人と言っても、個々の事情を考慮して選ぶのは難しいですが、アドバイザーは得意分野です。企業の情報や、理解の姿勢を含めて教えてくれるので助けを求めやすいです。
正社員雇用を重視している求人サービス
発達障害者は、必ず正社員雇用の多い求人サービスを利用するようにして下さい。障害者枠でも、正社員として採用することを考えているかいないかでは雲泥の差がでます。
障害者の生活を考え、その先にあるスキルアップや将来に関する責任を持つ姿勢は、正社員求人の多さに出てくると言えます。
非正規しか扱っていないと、その場だけの人材を集めている可能性も無いとは言えません。
発達障害は難しい特性であるがゆえに、困ってしまうことも多いのですが、企業の理解や支援を受ければ適切に働くことができるようになります。
「障害者だから非正規も仕方ない」と最初から諦めず、まずは自分の能力を信じて、正社員で働く道を模索するようにして下さい。
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発達障害者に向いている仕事が見つけられる求人サイト
ここでは、発達障害者に向いている仕事が見つけられる求人サイトをご紹介します。
dodaチャレンジという障害者向け求人サイトになるのですが、ここは障害者に向いている仕事探しに利用したいポイントが多い求人が目立ちます。
向いている仕事が今ひとつ分からない方でも、参考になるのでチェックされてみて下さい。
\日本最大の発達障害者枠求人情報/
※障がい者枠での転職を支援するスタッフがあなたをサポートし、最適な転職先をフォローしてくれます。
様々な障害や特性に配慮している企業との取引がある
障害者求人として専門に扱っている求人サービスのため、取引している企業からも障害への配慮が徹底されています。
心身も精神も関係なく扱う求人サイトであるため、障害者にあった個々の仕事が見つけやすくなります。
取引している企業は公式サイトに掲載されていますが、大企業も含まれている点は見逃せません。
「障害者求人には、大企業が無いので安心できない」という心配を抱えがちな方でも、「dodaチャレンジ」なら探しやすいです。
障害者に配慮している企業でなければ、dodaチャレンジも求人掲載できないため、心強い味方になってくれると言えます。
個別相談の内容に沿って求人を紹介している
相談はもちろん無料で受け付けてくれます。当事者が気づかなかった仕事への要望や、配慮して欲しい意向を汲んでくれるため、なかなか仕事が見つからない人にもチャンスが増えます。
向いている仕事は確かに重要ですが、相談も踏まえて検討しなければ、職場環境の配慮などは分からないままです。その点で、相談を通して確認できるdodaチャレンジは便利です。
一人で求人を調べて、何となくわかったような気持ちで応募してしまうよりも、二重三重の確認が取れるので不安も打ち消されやすいのは強みのひとつ。
何でも独断で決められる方はいいのですが、ちょっとした迷いや不安を抱えたまま就職を決めるのも怖いですよね。できるだけ相談して、求人紹介と説明を受けておきましょう。
正社員の雇用と安定した収入を得やすい
dodaチャレンジは正社員の雇用に前向きです。障害者求人を前面に出してはいますが、その雇用形態は非正規ではなく正社員が多め。
実際に就職できた方の統計データも62%と高いです。(正社員登用の予定を含む)
正社員として働くことで、安定した雇用が約束されることはもちろん、収入も望むようにもらえるのは大きいです。
まだまだ障害者求人は非正規、かつ低所得に追いやられる状況がある中、dodaチャレンジの取り組みは誠実だと言えるでしょう。
正社員になって安心して働いて欲しいという思惑が企業を通して見えてきます。
まとめ
発達障害者は、「向いている仕事」だけで決めてしまわず、「向いている職場環境」のチェックも怠らないようにしましょう。
向いていると思って始めたとしても、職場環境が悪ければ何もかもが苦痛になります。逆に、職場環境に恵まれると、仮に大変な仕事であっても頑張れたり、やりがいも感じられます。
その点でお話すると、dodaチャレンジで仕事を探すことが、特性への向き不向きと、職場環境の配慮を同時に考えられます。
- 向いている仕事と言われて頑張ったが、職場の理解を得られた試しがない
- 向いていないと言われて諦めていた業種で働いてみたい
こういった悩みや不満を抱えながら働くことは、せっかく目の前にあるチャンスをみすみす逃すようなもの。
dodaチャレンジなら、自分に向いている仕事の可能性も広げられるので利用されてみるといいですよ。
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