企業型年金を移換させたい

確定拠出年金が退職後に国民年金基金連合会に自動移換される仕組みとデメリット

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企業型確定拠出年金のある会社を退職した後に、「手続き方法がよくわからない」や「手続きが面倒」ということで確定拠出年金を放置していませんか?

確かに、再就職して慣れない環境のときに、帰宅してから調べたり、せっかくの休みの日に書類に向き合うのは避けたい気持ちは分かります。

しかし、このまま放置していると「自動移換」という手続きが自動で行われてしまいます

移換されるだけで何もなければよいのですが、自動移換になってしまうと幾つものデメリットがありますので、放置し続けることは避けた方が無難です。

この記事では、自動移換の仕組みから、どのようなデメリットがあるのか解説しています。また、手続きもそれほど煩雑ではない手続きの手順をまとめていますので、併せて確認してみてください。

自動移換されるまでの仕組み

仕組みの説明

確定拠出年金は、企業の退職金制度に代わるものとして多くの会社で導入が開始されました。

定年時に「退職金」を一括して会社が支払う場合には、ある程度の余剰がある会社であればよいのですが、そうではないときは負担が大きいです。確定拠出年金を導入すれば、毎月、一定額を給料に上乗せすることで、コツコツと支払えば会社の負担も少なくなります。

また、退職金制度がない会社や払いたいけれど払う事の出来ない体力のない会社の場合でも、確定拠出年金制度を導入すれば、退職制度に代わるものとして、これから就職してくれる社員へのアピールすることのできる福利厚生として紹介することできます。

社員を募集するときは会社にとってのメリットがありますが、社員が中途退職してしまうときはどうでしょうか。

退職金は中途退職してしまったら、支払われなかったり、非常に少ない金額しかもらえないのが一般的です。

確定拠出年金を導入した会社を中途退職した場合はどうなるのでしょうか。

確定拠出年金として積み立てた額はどうなるのか?

企業型の確定拠出年金は、毎月会社が積み立ててくれる分と自分の給料の中から積み立てる分の合計額を積み立てています。

基本的には、毎月、会社が積み立てる分についても給料の一部として払っているために、中途退職した場合でも既に積み立てたものは社員のものです。

「会社積み立て分 + 自分の給料積み立て分 = 退職後の確定拠出年金(自分のもの)」

ただし、会社ごとに確定拠出年金の規約の定めによって、制限が加えられていることがよくあります。

規約は「入社して3年以内に退職した時には、会社が積み立てた分は返還(返金)してもらう」というものです。該当の条項がない場合や年数が異なることがありますが、多くの会社は3年以内に退職したら返還ということになっています。

返還の条項がある場合には、積み立てている確定拠出年金の中から返金処理がされ、残りのものが退職後の確定拠出年金額となります。

「自分の給料積み立て分 - 会社積み立て分 = 退職後の確定拠出年金(自分のもの)」

上記のため、退職後の確定拠出年金(自分のもの)が0円となることもあります。

0円となった場合には、確定拠出年金はなくなったと思いがちですが、移換する金額はないものの確定拠出年金に加入していた期間は引き継ぐことができます。

金額の有無ではなく、企業型の確定拠出年金に入っていた場合で、中途退職したときは、確定拠出年金についての手続きが必要となってきます。

 

移管手続きをせず放置していると、自動移換となってしまいます。自動移換されると多くのデメリットが発生してしまいますので、自動移換されるまでに手続きをしてください

退職日の翌月から数えて6か月後に自動移換

加入者資格喪失日の翌月から数えて6か月後までに移管手続きしていないときは、自動で移換されます。


(例)

  • 加入者資格喪失日:5月6日
  • 加入者資格喪失日の翌月:6月
  • 加入者資格喪失日の翌月から数えて6ヶ月:11月

退職してから間もなく書類が到着します。「加入者資格喪失のお知らせ」という書類となり、その書類に「加入者資格喪失日」の記載があります。

退職した時にはいろいろな書類があり、「加入者資格喪失のお知らせ」もその一部として捨ててしまっていることもあるでしょう。

でも大丈夫です。

殆どの場合、「加入者資格喪失日」とは退職した日の翌日となりますので、書類はなくても問題ありません。

中途退職日の翌月から数えて6ヶ月以内に移換の手続きをしなかった場合には、積み立てた確定拠出年金は国民年金基金連合会に自動的に移換されます。

この自動移換が幾つものデメリットがありますので、自動移換されるまでに手続きを必ず行ってください。

自動移換の4つのデメリット

デメリットが多くて困る

中途退職してから確定拠出年金を放置していると自動移換されてしまいます。

自分で金融機関に移換したときと、放置して国民年金基金連合会に自動移換されたときを比較すると、自動移換されてしまうとデメリットしかありません。

大きく4つのデメリットがありますので、それぞれ解説をしていきます。

移管手数料が2重でかかる

確定拠出年金のお金を引き出すには、条件を満たせば脱退一時金をすぐに受け取ることができます。ただし、脱退一時金は積み立てたお金が1.5万円以下ではなければいけないなど、条件は厳しいものです。

脱退一時金が受け取れない場合には、60歳以上となってから年金を受け取ることになります。受け取るときには、自動移換されたままでは受け取ることができずに、金融機関に移管する必要があります。

通常の手続きである6か月以内に移換するのであれば、退職後に金融機関に移換するときに手数料がかかります。

一方で、6か月以上放置して自動移換された際には、退職後に国民年金基金連合会に自動移換されたときに1回、国民年金基金連合会から金融機関に移換するときに2回目の手数料がかかります。

移管手数料比較

種類 (支払先) 通常移換 自動移換
移換手数料 国民年金基金連合会 2,777円 1,080円
移換手数料 金融機関 無料~ 無料~
自動移換事務手数料 国民年金基金連合会 なし 1,028円
自動移換手数料 特定運営管理機関 なし 3,240円
合計 - 2,777円~ 5,348円~

※移換手数料は金融機関ごとに異なり、無料のところから4,000円ほど徴収されるところもあります。

 

6か月以内に移換するときは2,777円となりますが、自動移換されてから金融機関に移換するときには約2倍の5,348円もかかります。

受け取るには自動移換してもしなくても金融機関に移換するわけですから、余計な手数料がかかってしまう自動移換は大きなデメリットです。

毎月管理手数料がかかり続ける

自動移換をされた場合には、確定拠出年金のお金を管理するための費用が、毎月資産の中から天引きされていきます。

移換された5か月目から、毎月51円を特定運営管理機関手数料として徴収されます。5月に自動移換された場合は、9月から開始です。

少額ではありますが、毎月のことなので、年間で612円、5年間で3,060円もの手数料が自分の資産の中からなくなっていきます。

年金を受取れる加入期間に加算されず、60歳になっても受け取れない

確定拠出年金を60歳から受け取るには、10年間の加入期間が必要です。10年の加入期間がない場合には受け取ることができません。

加入期間は企業型の確定拠出年金にプラスして個人型に加入している時の合計となりますが、自動移換されている間は加算されないです。

10年なければ受け取れない訳ではありませんが、支給される年齢が加入期間によって繰り上がります。

加入期間 受取ができる年齢
10年以上 60歳
8年以上10年未満 61歳
6年以上8年未満 62歳
4年以上6年未満 63歳
2年以上4年未満 64歳
1か月以上 65歳

公的な年金の受け取り年齢を受け取るのは65歳からです。この年齢は、これからどんどん引き上げられて70歳になる可能性もあります。

定年退職してから公的年金の受け取れる年齢までの足しとして、確定拠出年金が使えますので、60歳で受け取れることは非常に大事なことです。

運用指図もできないし、預金の利子もない

自動移換されている間は、行き先のないお金が管理されている状態です。

そのため、確定拠出年金のお金が銀行の預金のように利子が付くわけではなく、そのままです。

また、投資商品で運用したいときや定期預金などに預けたい場合も自動移換されたままではできずに、金融機関へ移換しなければなりません。

上述の通り、移換時には約2倍の手数料がかかり、毎月手数料が徴収される仕組みとなりますので、自動移換はデメリットしかありません

唯一メリットがあるとすれば、手続きなどの面倒なことをしなくても済むということですが、実際に手続きをやってみると、それほど難しいことではないと気づくはずです。

移換の手続きステップについて、まとめましたので、確認してみて下さい。

自動移換にならないために行う5つの手順

自動移換さないためには、個人型確定拠出年金への移換が必要です。愛称は「iDeco(いでこ)」となります。

自動移換となるときは、ほとんどが手続きが面倒という理由か、資産があるということを認識していないということです。

本ページをご覧いただいているということは、確定拠出年金のお金があることは認識いただいていますので、手続きをすれば自動移換にならずに済みます。

面倒であっても、前述のとおりデメリットばかりなので、この機会に、ぜひ、移換手続きをやってください。

大きく5つの手順となっております。

Step①運営管理機関(金融機関)の決定

中途退職後、6か月後に自動移換とならないためには、運用管理機関(金融機関)へ移管手続きをしなければいけません

運用管理機関は、銀行や証券会社など数多くの会社が参入しており、この中から1つを選ぶ必要があります。幾つかの運営管理機関に分散することはできず、1人1つの金融機関を決める必要があります。

選び方は2つを比較してください。

  1. 手数料が最も安い
  2. 投資できる商品数の数が多い

手数料に関しては、国民年金基金連合会に収める分もあるため完全な無料というのはないのですが、競争が進み運用管理機関(金融機関)が受け取る手数料は無料というところが幾つかあります。

インターネット専業の証券会社である、SBI証券、楽天証券、マネックス証券などが無料となっています。

また、投資できる商品数は運用管理機関(金融機関)が決めます。それぞれ、どんな商品をライナップしているのか公表されているところもあります。

なるべく多くの商品をライナップしている会社の方が、投資したいと思ったときに思い通りに投資できます

こちらもSBI証券、楽天証券、マネックス証券などのネット証券の商品数が多いです。

Step②加入に必要な書類を請求

移換する運用管理機関(金融機関)が決まったら、資料請求をします。

証券会社などにすでに口座開設が済んでいれば、あとはiDecoの手続きとなります。

口座開設していない場合には、証券会社などの総合口座の開設が必要となりますが、基本的にはネット上で名前などの基本情報を入力し、運転免許証などの本人確認書類を用意するだけです。

Step③加入者又は運用指図者のどちらになるか選択

資料請求している間に、加入者か運用指図者どちらになるか決めておきましょう

加入者とは、今まで積み立てたお金を移換して、これからも一定額を積み立てていくというものです。サラリーマンの場合は23,000円まで毎月積み立てることができます。

毎月積み立てる場合には、確定拠出年金のお金が増えるだけではなく、年末調整のときに、積み立てたお金のすべてが所得税の控除になりますので、大きな節税もできます。

運用指図者とは、今まで積み立てたお金を移換して、そのお金を投資するということです。転職後に給料が下がって積み立てする余裕がないときなどは、運用指図者になることができます。

Step④加入に必要な書類への記入および提出

資料請求の書類が到着しましたら、必要箇所に記入し、書類を添付して送り返します。

  1. 総合取引口座申込書
  2. 個人型年金加入申出書
  3. 事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書
  4. 確認書
  5. 本人確認書類のコピー

必要な書類は運用管理機関ごとに異なることもありますが、基本的には上の5つは必要です。

1、2、4は自分の名前を自筆で書くなどの簡単な申込書ですぐに終わります。

3.事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書については、再就職した会社が企業型の確定拠出年金を実施していないなどの証明をするものです。

総務担当などに提出すれば、すぐに捺印をして返してくれるでしょう。

再就職先の総務担当は、確定拠出年金が幾らあるのか、どのような商品に投資しているのかなどの個人的な情報は把握できませんので心配ありません。

あくまでも企業型確定拠出年金を再就職先が導入をしていないことの証明となります。

Step⑤1~2か月後に手続完了

書類を送付後に2週間ほどで総合取引口座の開設したことの書類が簡易書留郵便で届きます。

証券会社の口座が開設したということだけで、iDecoについてはまだ運用開始とはなっていません。

1~2か月経過すると、確定拠出年金のお金が、開設をした運用管理機関(金融機関)に移換されますので、移換が完了すれば投資開始となります。

確定拠出年金の自動移換Q&A

本来であれば、確定拠出年金のことは前職の会社の担当者などに聞くのが良いと思うのですが、なかなか電話しにくいですよね。

そのため、確定拠出年金の自動移換について、疑問となりやすい点をまとめました。

自動移換されるお金が0円でも手続きは必要?

企業型の確定拠出年金は、会社が出してくれるお金と自分の給料から一部を出すお金の合計を積立てて運用を行います。

会社の規定により、就職してからの年数を満たさない場合には、会社が出してくれたお金の分は返金しなければいけません。

よくあるのが3年以内に退職した場合には、会社が出したお金は返還してくれというものです。

この場合は、返還されるお金は、積立ててある確定拠出年金の中から相殺されることが多いです。

確定拠出年金の資産と返済額が同額(もしくはマイナス)のときは、確定拠出年金の資産は0円となることがあります。

0円だから、なにも手続きはしなくてもよいでしょうか?

その答えは、運用管理機関(金融機関)に移換手続きをしたほうがよいです。

お金については移換をしないのですが、確定拠出年金の加入している月数は引き継ぐためです。

 

確定拠出年金は10年以上の加入期間があれば60歳で受け取ることができますので、0円でも引き継いだほうがよいです。

自動移換されてしまったときの対応方法は?

自動移換されたときでも、特定運用管理機関(金融機関)を決めて資料請求することに変わりはありません

前述した「自動移換にならないために行う5つの手順」に沿って手続きをお願いします。

提出する書類は異なることがありますが、金融機関が判断してくれますので、まずは資料請求をすればよいです。

自動移換されているのか確認する方法は?

退職してから6か月以上たっていなければ、自動移換されていません。

退職日が分からないといときはあまりないと思われますが、退職時にいろいろあり分からないということがあるかもしれません。

そんなときは、いくつかのタイミングで書類が送られてきますので、書類で確認することができます。

自動移換にかかる書類送付

確定拠出年金の加入資格を失ったとき(通常は退職日の翌日)は書類で通知されます。

  • 加入者資格喪失のお知らせ

自動移換された場合には、自動移換となったときと年に1回定期的に書類で通知されます。

  • 確定拠出年金に関する重要なお知らせ(自動移換通知)
  • 確定拠出年金に関する重要なお知らせ(定期通知)

住所変更して書類が届かないとき

書類は送付されますが、前職の時の住所から引越しなどをしている場合には書類が届きません。

書類不達の場合には、国民年金基金連合会が委託をしている日本インベスター・ソリューション・アンド・テクノロジー株式会社にて、法律にしたがって公告されることになっています。

公告の方法はホームページに掲載されますので、以下のリンクより誰でも確認することができます。

ただし、3か月掲載された後は確認することができません。

 

3か月経過後については、掲載されておらず確認できないため、電話をして問い合わせをする必要があります。

 

メモ

住所を変更した場合には、前住所の最寄りの郵便局でかんたんな書類を出して転送手続きをすれば、「転送不要」と書かれた郵便物を除いて、新住所に1年間送付されますので便利です。

自動移換されている金額を確認する方法は?

自動移換されている金額の確認方法としては、送付される書類に書かれてありますインターネット上でログインして確認することはできません。

基本的には、前職のときに積立てた確定拠出年金から、自動移換の際の手数料や月額費用が引かれた額となります。会社の規定により、3年以内の退職の時には、その分の返還されていることもあります。

間違いやすいのは、会社にすべてを返還されるのではなく、自分の給料の一部を積み立てていたものは少なくとも自分のものとなります。

まとめ

確定拠出年金は、放置をして自動移換になるとデメリットしかありません

「手続き方法がよくわからない」や「手続きが面倒」という理由で、放置せずに手続きをしましょう。

これまでは、社会の現役世代が定年後の世代を支える構造「公的年金」がありましたが、設計上、上手くいかない部分が表面化してきたいので、見直しがされ続けています。

近い将来、公的年金の受給開始年齢も65歳から70歳になるとも言われています。

確定拠出年金は「老後の自分のために、いまの自分が用意をする」ものです。社会が支える時代は終わり、自分で支える時代に既に入っています。

いまの生活も大変で忙しいというのも良くわかるのですが、老後になって「iDecoに移換しておいてよかった」と後悔しないためにも、まずはイデコの資料を取り寄せてみてはいかがでしょうか。

 


最後まで読んでいただきありがとうございます。


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